角膜上皮びらんと遷延性角膜上皮欠損

摘要

角膜上皮は眼表面の重要なバリア機能を担っており,それらの恒常性を維持するた め，角膜上皮は丈夫でかつ高い創傷治癒能力を有している.角膜上皮障害の遷延は創傷治癒能 カなどの破綻もしくは創傷治癒能力を凌駕する障害が眼表面に起こっているということを意味 し,大変由々しき状況である.角膜上皮障害は，表層上皮のみの障害である点状表層角膜上皮 症(SPK),上皮全層の欠損である角膜上皮びらん，上皮欠損が遷延した遷延性角膜上皮欠損 (PED),実質損傷を伴う角膜潰瘍,に分類される.角膜上皮びらんと遷延性角膜上皮欠損の鑑 別には上皮欠損部の形が重要であり，角膜上皮びらんでは上皮欠損部は内に凸になることが多 いのに対し，遷延性角膜上皮欠損では類円形の上皮欠損となることが多い.類円形の角膜上皮 欠損を診察した場合,角膜上皮の創傷治癒が遅延していることが多く，注意が必要である.