心因性視覚障害や発達障害児童への対応について

摘要

心因性視覚障害は，学校健診で視力低下を指摘されて眼科を受診し，診断される例がほとんどである.従来からみられる,女児に多く屈折異常の少ないタイプに加えて,最近では発達障害に伴う心因性視覚障害例が増えている.後者では，性差があまりなく，屈折異常をしばしば伴う.この2つのタイプについて,それぞれの特徴を述べる.心因性視力障害の診断においては,眼球，視覚経路,脳に病変がないことを確認することが最優先される.治療に関しては，心因を取り除くことが大事であるが，複雑な要因であることも多く，どちらのタイプも簡単には治らない例がかなりみられる.発達障害のうち，限局性学習症を除く注意欠如多動症と自閉スペクトラム症では,知的障害の合併が数多くみられ,学校健診の場で対応に苦慮することがある.学校健診ではできることが限られるが，視力検査，眼位?眼球運動検査?前眼部検査の留意点について私見をもとに解説する.