犬の形質細胞腫瘍

摘要

犬の形質細胞腫瘍は成熟したB細胞性リンパ系腫瘍と捉え ることができる。多発性骨髄腫は形質細胞が骨髄で増殖する ことで生じる病態であり，それによる骨融解と激しい疼痛,異 常免疫グロプリン産生によるモノクローナルガンモパシーや 尿中Ig L鎖の増加，過粘稠症候群,高カルシウム血症などさま ざまな症状を呈する。発生率は犬の腫瘍の0.596程度とされ る"。本腫瘍は増殖スピードの緩徐な腫瘍であるため，化学療 法はアルキル化剤が中心となるが，腫瘍細胞そのもののコン トロールもさることながら腫瘍随伴症候群のコントロールが 動物のQOLの上昇のためには重要となる。