関西部会4月例会報告概要: 我が国の港湾経営に関する実証分析: 政府の港湾政策が効率性に与える影響の検証

摘要

本研究では,近年の我が国の港湾政策により導入された国際コンテナ戦略港湾政策や港湾運営会社制度などの民間活用に加えて各港湾が置かれる運営環境などが港湾の経営状況に与える影響を検証する。分析方法としては,第一に,1産出,3投入要素価格に加え,港湾の運営環境および管理的要素をコントロール変数として含めたトランスログ型費用関数による推定およびその推定値を用いた全要素生産性(TFP)の計測と要因分解である。分祈には2012年から2018年7年間のプーリングデータを用い,分析対象は国際戦略港湾,国際拠点港湾,重要港湾の計118港湾とする。第二の分析方法は,包絡線分析(DEA),特に各港湾が置かれた運営環境などの影響をトービットモデルの推計値によりコントロールした効率値の計算が可能な4段階DEA(Fried et al.1999)を用いた技術効率性の測定である。ここでは1産出,4投入,日本の国際戦略港湾,拠点港湾,重要港湾のうちコンテナ港湾53港湾を分析対象とし,分析期間は2010年と2015年の2年となる。