2) 核医学治療のエビデンスと将来

摘要

核医学治療は別名,放射線内用療法,アイソトープ治療などとも呼ばれ，非密封の放射性核種を用いた内部放射線治療であり,放射性物質を含む薬剤を病巣に選択的に取り込ませて放射線治療を行うものである.最も古くから行われた核医学治療は甲状腺疾患に対するヨウ素治療であり1940年代にはすでに開始されている.この数十年で海外では多数の核医学治療薬が開発され臨床に応用されてきた.また最近では診断と治療の融合概念であるセラノスティクス（Ther-anostics ； Therapy と Diagnosis を合わせた造語）の考え方が注目されている.日本では長らく新規薬剤の導入がなかったが，2000年以降新しい 薬剤が次々と導入された.2007年には骨転移の疼痛緩和目的にSr-89メタストロンが,2008年には難治性B細胞性リンパ種に対してゼヴァリン（Y-90標識イブリツモマブチウキセタン）が認可された.また2016年には去勢抵抗性前立腺がんの骨転移に対してゾーフィゴ（Ra-223）が認可された.