がん薬物療法専門医のための模擬テスト132ー解答と解説ー

摘要

問題1.解答:(A) (C).ヒトには518種類のキナーゼが存在し，基質の選択性からチロシンキナーゼ(TK)とセリン?卜レオニンキナーゼ(STK)に大別される.TKは,がん細胞で活性化変異が多数見出されており,受容体型(RTK)58種類，非受容体型(non RTK) 32種類の計90種類が報告されている. non RTKはRTKと異なり，分子構造として細胞外領域を持たず,細胞内領域にチロシンキナーゼドメインを有する.作用機序としても,直接的に結合するリガンドを有さず，上位の制御因子は細胞膜上に存在する種々の受容体タンパク質であることから,さまざまな膜受容体と会合して膜受容体から細胞内へのシグナル伝達を担う.がんの増殖シグナルにかかわるRTKには,EGFR, PDGFR, VEGFR, KIT, RET, ROS, ALKなどがあり，non RTKにはSRC, ABL, JAK, BTKなどがある.BRAFはセリン?スレオニンキナーゼで ある.