遺伝子改変免疫細胞療法の進展

摘要

免疫チェックポイント阻害薬は，がんの免疫療 法という長年の夢を具現化した.しかし，いまだ その恩恵は一部のがん患者に限られ，今後より多 くの人々にがん免疫療法の恩恵を拡大してゆくこ とが必要である.免疫チェックボイント阻害薬 に続く有効ながん免疫療法として遺伝子改変免 疫細胞療法が注目されている.キメラ抗原受容体遺伝子(chimeric antigen receptor； CAR)を 導入したT細胞(CAR-T)療法が急性リンパ性白 血病(ALL)およびびまん性大細胞性B細胞リン パ腫(DLBCL)の治療法として，BCMAに対する CAR-T療法が多発性骨髄腫(MM)の治療法とし て，わが国あるいは米国で近年承認されている. T細胞レセプター(TCR)遺伝子改変T細胞(TCR-T)療法もいくつかの固形がんを対象とした臨床 試験で有効性を示しつつある.本稿では，遺伝 子改変免疫細胞療法の原理，現状，および今後の 課題にっいて概観してみたい.