がん薬物療法専門医のための模擬テスト142-解答と解説-

摘要

問題1：解答：(C)生体にはDNAの複製の際に生じるミスマッチ を修復する機能がある.ミスマッチ修復機能の 欠損を評価する方法として，マイクロサテライト 不安定性(MSI)検査，ミスマッチ修復タンパクに 対する免疫染色検査，次世代シーケンサーを用い たがんゲノムプロフアイリング検査がある.この うちMSI検査は，腫瘍組織と正常組織のDNAの マイクロサテライト領域をPCR法を用いて増幅 し，腫瘍組織と正常組織の差から高頻度マイク ロサテライト不安定性(MSI-High)を判定してい た.FALCO社のMSI検査では正常組織との差 ではなく，基準から外れることを利用することで 腫瘍組織のみでMSI-Highを判定している.大腸 がんにおいて，このMSI検査は3つの目的で使 用されている.1つ目は他の固形がんと同じく， 化学療法後に増悪した際の免疫チエックポイン ト阻害薬の適応を判定するためで，MSI-High大 腸がんにはペンプロリズマブ療法と，二ボルマ ブ療法および二ボルマブ/ィピリムマブ併用療 法が適応となる.2つ目はリンチ症候群の診断 除外のためで，リンチ症候群が疑われた際にMSI 検査を行い，MSI-Highでなければリンチ症候群 をほぼ否定することができる.