イオン性液体の電気二重層キャパシタへの応用

摘要

イオン性液体（Ionic Liquid）なる用語は古く1930 年代の文献にも使用されており，同名の専門書「Ionic Liquids」も1981年に米国で出版されている．この呼称は溶融塩(Molten Salt)だけではなく，イオン性化合物を溶媒に溶解した液体，つまり電解質溶液(Electrolyte Solution)にも使用されていた．しかしながら，近年，この「イオン性液体」がマスコミで注目を浴びるようになったのは，ある種の常温溶融塩(Room Temperature Molten Salt；RTMS)を有機蒸気（Volatile Organic Compounds；VOCs）を排出しない環境調和型溶媒として，従来の有機溶媒の代わりに使用しようというグリーンケミストリー(Green Chemistry)に関心が高まっているからである．本稿では自動車の排気ガスによる大気汚染問題への対策から登場したハイブリッド車や燃料電池車などに蓄電デバイスとして搭載が開始された電気二重層キャパシタ(Double-Layer Capacitor; DLC)にイオン性液体を電解質として応用する技術について概説する．