表面科学に期待される次代の触媒解析技術

摘要

今日，我々が日常手にする高分子や化学繊維，プラスチックなどを始めとする化学製品の製造には，原則的に触媒が用いられているが，その利用範囲は医薬品や最近では有機ELなどの電子材科へも着実に拡がっている。環境·エネルギー分野に目を向けると，2014年の同分野で用いられる触媒の世界市場は2兆5千億円にも及び，さらに2030年にはこの額は1．5倍の伸びに達するという予測がある。環境分野利用で最も身近なのは，ガソリンやディーゼルエンジンを有する乗用車用の排気ガス処理触妹であったが，そこに水の浄化処理用の触媒や，温室効果ガスであるCO2を還元して変換。利用するのに，植物の光合成の機構を部分的に模倣した人工光合成触妹が加わる。エネルギー分野利用は，石油の精製や改質が永く主たる位置を占めていたが，燃料電池用の触媒や，太陽光を利用した水素生成を可能とする光触媒の重要性がさらに増して行くことは間違いない。