低侵襲冠動脈バイパス術(MICS CABG: minimally invasive coronary artery bypass grafting)が冠血行再建にもたらすインパクト

摘要

低侵襲冠動脈バイパス術(MICS CABG : minimally invasive coronary artery bypass grafting) , は,心拍動下冠動脈バイパス術(OPCAB : off pump CABG)の出現以降,目立った進捗のない冠動脈バイ パス手術の領域において近年注目されている.日本 における虚血性心疾患に対する治療はMICS CABG の出現によりどのように変わるのか，今回その将来 の展望について筆者の臨床経験も含めて論じたい.冠動脈バイパス術(CABG)は1964年にKolessov らにより初めて行われた. 1967年にはFavaloro らが大伏在静脈を用いた上行大動脈ー冠動脈間をバ イパスする術式(A-Cバイパス術)を考案し，-C バイパス術はその後の冠動脈バイパス術におけるラ ンドマークとされた.本邦においては1970年2月に 瀬在が心拍動下に自家動脈片を用いた大動脈一右冠 状動脈バイパスに成功したことにより,冠動脈バ イパス術の幕が上がった.その後は大工心肺の発展 とともに,冠動脈バイパス術は大工心肺を用い心停 止下に行うA-Cバイパス術として確立した.