ナノ材料を用いた生体及び神経細胞機能模倣素子

摘要

著者は，このようなナノ材料が持つ特性を積極的に利用し，神経細胞機能模倣，即ちニューロモルフィックなシステムを構築することで低消費電力性を実現し，またニューラルネットワークに代表される人工知能の持つ演算機能をより効率的に再現するような物理構造を構築することを目指している。これまでに，主にナノサイズの分子とカーボンナノチューブ（Carbon Nanotube, CNT）の混合素子を中心とし，揺らぎやノイズ，自己発火といった機能を再現して，その発生機構を研究するとともに，生体及び神経細胞機能模倣素子として利用するための制御方法を検討してきた。本稿では一連の，一分子揺らぎ発生機構の解明，ノイズを利用した確率共鳴素子開発，さらに分子/CNTネットワークからのスパイク発火に関する最新の研究結果について紹介する。