犬のアトピーす生皮膚炎

摘要

犬のァトピー性皮膚炎は，遺伝的素因を背景とした炎症性 皮膚疾患であり，比較的典型的な臨床症状を呈する。犬アトピー性皮膚炎の臨床診断は，1986年にWillemse力s提唱した ものがよく参照されており，顔面あるいは四肢の屈曲部，腋 下や内股などに痒みを伴う慢性の皮膚炎がみられ，3歳未満 の若齢時に発症すること力?多いと考えられている。本症例の約80%において抗原特異的IgE力s検出されること から，本疾患の免疫病態においては，肥満細胞とIgEを主体 とするI型過敏症が中心的役割を担つていると考えられてき た。しかしながら，10-20%の症例では臨床病型はアトピ 一性皮膚炎と一致するにもかかわらず，抗原特異的IgEを検 出できず，アトピー様皮膚炎と呼ばれている。おそらく IgE によるァレルギ一がI型過敏症と呼ばれるのに対して，この ァトピー様皮膚炎はリンパ球が主体となって起こるIV型ァレ ルギ一であろう，と考えられているが典型的なアトピー性 皮膚炎とは臨床的には区別できず，その診断方法については つねに論議されている。