「橋守宣言」に向けて

摘要

橋梁などの社会基盤は，日本の産業発展に大きく貢献してきたし，今後もその影響度は益々高まるものと思われます．しかし，最近の我が国産業のおかれている立場は，中国，韓国，東南アジア諸国などの台頭により，同じ品質でも生産コストが高いため国際競争力が低下し，産業の空洞化や失業の増加につながっています．さらに，今後は，いかなる産業であっても，地球環境の保全に対する負担を軽視した事業体制下での発展は期待できません．その意味から，これらのコヌトを決める最大要因となる社会基盤整備コスト（地価，運賃，通信費，原料費及び加工費など）や環境コストを低減することが，我が国の21世紀における社会基盤整備の最大の課題といえます．そのために我々，橋梁技術者は，新設構造物の耐久性向上と共に，既設構造物の長寿命化を図り，「社会的資産の向上」と，3R（省資源，資源のリサイクル・廃棄物の減少，再使用）により「環境保全」を実現する必要があります．具体的には，従来，消極的（後追い的）にしか取り組んでこなかった構造物の長寿命化や再生を土木技術界において新たな事業として積極的に立ち上げる，今まさに、フローの時代からストックの時代に移るべき時に来ています。 即ち，公共構造物の「ルネサンス（再生・復興）」活動を興す必要があります．