食事パターンと前立腺がんの罹患

摘要

食事と前立腺がん:前立腺がんの罹患率は欧米で高くアジアで低いというように,国により大きな差があること,また,罹患率の低い国から高い国に移住した移民の罹患率は母国における罹患率より高くなることから,食事や環境といった生活習慣が,前立腺がんの罹患に関与していることが推測されている.世界がん研究基金と米国がん研究協会［World Cancer Research Fund(WCRF), American Institute for Cancer Research (AICR)〕では，これまでに出版された世界中の研究論文を詳細に検討し,食品?栄養素?身体活動度?体格と,各部位がんとの関連について総合的に評価し，2007年に「食物?栄養?身体活動とがん予防」(第2版改訂報告書Diet, Nutrition, Physical Activity and Cancer : a Global Perspective - the Second Expert Report)を出版し,その後も,World Cancer Research Fund Continuous Update Project (WCRF CUP)として,研究論文をアップデー卜し評価を継続し,2018年には第3版改訂報告書(-the Third Expert Report)を公開している.第3版の報告書では,各臓器がんの危険因子,防御因子について,その因果関係の強さのレベルを,強いレベルとして「確実Convincing」「ほぼ確実Probable」,弱いレベルとして「限定的一可能性ありLimited-suggestive」「証拠不十分Lim-ited-no conclusion」の4段階とし,さらに,関連がない方向に対する強いレベルとして「リスクへの影響がないSubstantial effect on risk unlikely」を加えて5段階で評価されている.