泌尿器科専門医のための模擬テスト23ー解答と解説一

摘要

問題1:解答:(A) (D):(A) (B)ラジウムはカルシウムと同族のアルカリ土類金属であり,カルシウムと同様に骨代謝の亢進した部位に集積する特性を有する.Ra223は集積部位でハイドロキシアパタイトを形成し,4段階のα壊変，2段階のβ壊変により最終的に安定な鉛207となる.この壊変の過程で放出されるエネルギーはα線が95.3%,β線が3.6%,γ 線が1.1%とされている.(C)前立腺がんによる骨転移巣の微小環境では，①前立腺がん細胞からのサイトカインや増 殖因子により骨芽細胞および破骨細胞が活性化され,②活性化した骨芽細胞から分泌されるRANKL (receptor activator of nuclear factorkappa B)などにより破骨細胞が分化誘導され，③活性化した破骨細胞により骨基質から放出されるTGFβなどの増殖因子が前立腺がん細胞を活性化する，という(宿主からみると)負のサイクルにあると考えられている.Ra223から放出されるα線は,これら前立腺がん細胞?骨芽細胞?破骨細胞のDNA二本鎖を切断しアポトーシスへと誘導することで抗腫瘍効果を発揮する.