透析患者ではサルコペニアやフレイルの割合が高く,病状の進行や日常生活動作(activity of daily living ; ADL)の低下,死亡率の増加にもつながっており,大きな社会問題となっている.今から40年前,筆者が医師になりたての時代では,腎臓病患者には「安静にさせる」ことが治療の常識であった.「起立性タンパク尿」もあるほどで,健常者にも,散歩するとタンパク尿が混じる恐れがあるから検診の日の朝は運動しないようにと注意した(これは今でも正しい).以来40年,多くの基礎的?臨床的なエビデンスが構築され,超高齢社会の到来とも相まって,最近,慢性腎臓病(CKD)の治療は「運動制限から運動療法へ」というコペルニクス的転換を果たした.本稿では,最近話題の腎臓リハビリテーションの現在と未来について概説する.
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