腎移植におけるクロスマッチテストと抗体スクリーニング

摘要

腎移植における術前組織適合性検査として,クロスマッチテストと抗体スクリーニング検査が行われる.各移植施設において，自施設での検査や検査機関への外注検査により行われ,術前のカンファレンスでそれらのデータを目にすることになるが,データの見方が実はよくわからないという方も多いのではないか.筆者は,2006年からクロスマッチテスト，2011年から抗体スクリーニング検査を担当し,2016年に日本組織適合性学会から認定HLA検査技術者の，2019年には同認定組織適合性指導者の資格認定を得た.日本組織適合性学会では,毎年全国の検査施設に同じ検体を配布し,その検査結果を集計?解析することにより精度管理(Quality Control Workshop ； QCWS)を行っている.学会大会では結果を解説するQCWS集会が行われ，自施設で検査する場合は,QCWSとQCWS集会に参加することが推奨されている.本稿では，これらの検査についてわかりやすく解説する.なお，QCWSの結果や測定方法の原理?具体的操作方法は,日本組織適合性学会ホームページ(http://jshi.umin.ac.jp/ qcws/index.html)に掲載されている.