日本の民間薬一その33—センプリ（当薬）

摘要

センプリ（当薬：SwertiaeHerba)はリンドウ 科(Gentianaceae)のセンブリ(Swertia japonica Makino)の開花期の全草である。センプリは，日当たりのよい丘陵や低山の草地に 自生する日本特産の2年生草本で，北海道から九 州及び朝鮮半島，中国に分布する。根は黄色く，茎 は基部から分枝するか単立，やや四角形で暗紫色を 帯び，直立して高さ20~25cmになる。葉は対生 し，紫緑色を帯びることが多く，線形から倒披針形 で鋭頭，全縁，長さ1.5~3.5cm，幅1~3mm。 8 ?10月，枝頂や葉腋に円錐花序を出し，白色に紫 色の筋のある花を多数つける。萼片は5個で線形， 花冠は5深裂する。花後に細長い蒴果をつけ，熟 すと2片に裂ける。かっては野生品の採集でその 需要をまかなっていたが，自生地の減少や採集人の 減少などから供給量が不足するようになり，近年で は長野県や高知県で栽培が行われている。