再生可能エネルギーを用いた水素製造技術－光触媒を用いた人工光合成型水分解反応

摘要

現代社会は，石油，石炭，天然ガスなどの化石燃料に大きく依存している．自動車や家庭の燃料，電気をとっても，化石燃料は欠かせないものとなっている．しかし，化石燃料の埋蔵量には限りがある．また，その使用に伴って多量の二酸化炭素が排出される．これらのことが，エネルギー枯渇問題や地球環境問題を引き起こす原因となっている．したがって，化石燃料に替わるクリーンなエネルギーが求められている．ここで，水素は，燃料電池なとに使うことができるクリーンエネルギーとして注目されている（図1）．さらに，化学工業原料としても不可欠な物質である．たとえば，化学肥料の原料となるアンモニアは，ハーバー·ボッシュ法によって水素と窒素から合成される．これにより，世界中の多くの人々の食糧が賄われている．また，水素と一酸化炭素を反応させることにより，ガソリンや種々の化成品を製造することもできる．水素があれば何でもできると言っても過言ではない．ここで，クリーンな方法で製造された安価で豊富な水素があれば，二酸化炭素を炭素源に用いていろいろな化成品を作ることができる．