RPS下における新エネルギー供給量と電気事業者に生じる追加費用の推定

摘要

電気事業者に対して，新エネルギーによって発電された電気を一定量利用することを義務付ける「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法」(Renewables Portfolio Standard, RPS)が，2003年4月から全面施行された．RPSにより，新エネルギーの環境価値に相当する「新エネルギー等電気相当量」という概念が導入され，電力供給地域をこえた取引が開始される．従って，電気事業者および新エネルギー発電者はその供給量や取引価格の動向に大きな関心を寄せているが，各新エネルギーに関する情報は体系化されてない上，環境価値の取引は新たな試みであるため，現状では量および価格の見通しが不透明である．このことが，制度の機能性や，制度参加者の適切な方策の構築を妨げる恐れがある．そこで本研究では，電気事業者の履行方策立案や新エネルギー発電者の事業計画立案に資することを目的とし，日本版RPSの定量評価を行う．まず，各新エネルギーの資源量と経済性について，地域偏在性を考慮した推定を行う．さらに，最適化計算により，効率的な新エネルギー導入パターンと限界的な新エネルド価値を導出する．最後に，RPSにより電気事業者に生じる経済的負担を分析する．