災害救助用アブレシブ·サスペンション·ジェットシステムの試作

摘要

災害救助用ウォータージェット切断システムの設計データを得るため，アブレシブ·サスペンション·ジェットシステムを試作した。試作したシステムはバイパス方式によるものである。最高使用圧力は35MPa，研磨材充填容器容積は約10Lである。試作したシステムを用いて形成される噴流の観察および切断実験を行った。切断実験は，アルミニウム合金およびステンレス鋼を試験片として行った。研磨材としてはガーネット#100を用いた。研磨材充填容器に18kgのガーネットを充填した場合，噴射圧力30MPaにおいては研磨材濃度約25wt％のアプレシブ·サスペンション·ジェットを約240s間形成することができる。災害救助用ウォータージェット切断機の場合，対象とする材料背後の被災者を傷つけないためには，ジェットの切断能力がスタンドオフ距離の増加とともに急速に減衰することが望ましい。試作したシステムを用いて形成された噴流は，当初計画どおりスタンドオフ距離が小さい領域で分裂する。切断実験によれば，切断深さhとノズルトラバース速度V_tとの間のh=AV_t~(-1)の関係がある。ここで，Aは定数である。厚さ6mmステンレス鋼板は，V_t=210mm/minの速度で切断することが可能であった。