小規模動物実験施設の新改築と運用経験: 日本歯科大学新潟生命歯学部での試み

摘要

日本歯科大学新潟キャンパスは大学院新潟生命歯学研究科と新潟生命歯学部および新潟短期大学の1大学院1学部1短大の小規模な構成である。新潟生命歯学部先端研究センターに付属する新改築以前の実験動物施設（生物科学施設）は、昭和48年（1973年）建築で40年以上経過した施設であった。そのため、様々な点において現在の実験動物飼育基準を満たすことができない状況にあった。特に、SPFラット·マウスと汚染動物（コンべン（シナル）であるイヌ·ウサギ等が同一の空調によって飼育されている状況は、どうしても解消されなければならない欠陥であった。これらの諸問題を解決するために行った今回の新改築においては、独立したSPFラット·マウス飼育実験施設を新たに建築し、イヌ·ミニブタ·ウサギ·モルモット等の汚染動物の実験·飼育空間と空調設備を完全に独立させた。汚染動物に関しては、旧動物施設を改築することにより、空調設備を含む飼育環境を改善し、これまでよりも遥かに良好な動物実験·飼育環境を実現した。さらに、騒音·悪臭等が周辺環境に漏れることのない動物実験飼育施設を建設することを最大限考慮することにより、動物実験·飼育のハード面における適正·適法な動物飼育環境を実現し、高度な最先端医療研究を達成して人類の健康と福祉に貢献していくことを目指した。この経験は、今後小規模の動物施設の新築あるいは改築を予定されている大学等の研究機関において、参考になるかも知れない何らかの示唆を提供できるものと考えている。