Cell/B.E.プロセッサを用いた三次元FDTD法の高速化に関する一検討

摘要

本研究では、Cell/B.E.プロセッサを用いて三次元FDTD法を高速化する検討を行った。従来、本プロセッサを用いた場合において、三次元領域を扱うような大規模計算では、DMA転送時間が計算速度向上の点で問題となっていた。この問題を回避するために、電磁界データをDMA転送する際に参照するメモリが連続領域となるようにプログラム化を行った。さらに、FDTD法の処理依存性と、DMA転送がSPEとは独立動作することを考慮し、SPEプログラムに対してソフトウェアによるパイプライニングを施した。この2つの手法を適用することにより、大規模計算においても高速化が行えるよう検討を行った。この結果、複数SPE使用時にDMA転送サイズにかかわらずリニアな計算速度の向上特性が得られ、SPEを8基使用しかつベクターうードを適用した場合では、およそ23倍から25倍の向上率が得られた。以上より、提案するソフトウェアパイプライニング手法、複数SPE化手法およびSIMD化が同時かつ有効に機能していることが確認できた。