安全弁の前漏れ防止によるCO{sub}2排出量削減＜蒸気用安全弁の前漏れ防止装置の紹介＞

摘要

自家発電用の蒸気ボイラは事業用に比べ発電量が小さいため、小口径の安全弁が使用されている。 小口径安全弁は弁体の着座性が悪く、大口径安全弁に比べて設定圧力以下で漏洩することが多く見受けられる。 漏洩が長時間にわたると、弁座シール部が徐々に侵食され漏洩量が増加してくる。 安全弁のその構造上、漏洩量が増加すると吹出し圧力が不安定になるため設定圧力以下での漏洩（以下前編れという）を防止する必要がある。 前編れは安全弁自体の性能によることもあるが、配管反力、ボイラからの輻射熱、配管振動などの設置環境によることもあり、安全弁の改造だけでは防止できないことがある。 設置環境に原因がある場合、ボイラは常用圧力を下げて運転しているが実情である。 常用圧力の低下は熱効率の低下を招き、発電プラントにとって大きな問題であるため設置環境の影響を受けにくい小口径安全弁の開発が急がれているが、これを完全に解決した高性能な安全弁はまだ商品化されていない。 岡野バルブ製造㈱と出光エンジニアリング㈱は既設弁に取付けることができ、電力、空気圧等の外部動力源が不要な前漏れ防止装置（以下では安全弁アダプタと称する）を共同開発した。 現在、通商産業省の認可を得て3基のボイラで運用中であり、本装置の特許成立を機に安全弁アダプタの概要を紹介する。