基礎や中間階柱に装置を設置して建物を免震化--フラットジャッキを用いた免震レトロフィット工法について

摘要

フラットジャッキは，プレスレストコンクリートの祖であるFressynet博士により70年以上も前に発明され，現在でも世界中で使用されている。構造は，周囲に半円形の凹みを有する2枚の薄い軟鋼板を溶接により接合したもので，注入口と排出口がある。写真－1にフラットジャッキと圧力計·バルブを示す。その原理は，注入口より液圧をかけることで，ジャッキの両面が互いに引き離されて変形して大きな揚力が発生する。狭陰な場所で使用可能，構造が単純で故障がなく軽量で低価格という特長がある。図一1にフラットジャッキの揚力発生機構を示す。揚力は78kNから3924kNまでの11種類がある。また角形も3種類ある。注入材には使用目的に応じて，水またはセメント系注入材を選択できる。近年，構造物のアンダーピニング，橋梁支承の交換工事，建築物の免震化工事に使用されている。