1,500°C高温比熱測定装置

摘要

投下法の原理により，100°Cから1,500°Cの広範囲な温度領域で耐火材,繊維質断熱材のような低熱伝導率,意空隙率の試料の比熱測定が可能な装置を開発した。 装置設計の際,装置が持つと考えられる測定誤差,特に測定に対して最も影響が大きいと考えられる，試料を容器に投下させる際の空気中への放熱による熱損失，及び試料投下後,容器から断熱壁への熱移動による損失を有限要素法（FEM）を使って検討し，それらによる誤差が，最も熟的条件の厳しい試料温度1,500°Cの場合，約9％程度であることを見積もった。 また，装置完成後,この装置を使用して比熱の値が既知である米国立標準技術研究所（以下NIST）認定の標準物質（α－Al_2O_3）を用いて測定精度の確認を行った結果,NISTが提示している標準値とほぼ+-10％以内で一致することが分かり，実用的に十分な精度で測定が可能であることを確認した。 また，実際に各種耐火材、繊維質断熱材として，SiC系耐火材,アルミナ質断熱材,アルミナーシリカ系断熱材,ロックウール断熱材の比熱測定を行ったところ，+-5％から+-10％以内で安定した結果が得られ，さらに，高温に加熱された試料を水に投下させ，その水温上昇から比熱を算出する従来装置による結果とも+-5％から+-10％以内で一致することを示した.