純アルミニウム双結晶における集積転位の相互作用とひずみ誘起粒界移動との関係

摘要

初期方位において∑3双晶粒界をもつアルミニウム双結晶な20％まで引張変形し，粒界近傍で活動したすべり系によって導入された転位と焼なまし後に観察されたひずみ誘起粒界移動（SIBM)との関係を検討した結果，以下の結論を得た。 (1)結晶Bで帯状の変形帯が形成され結晶Aでは主に単一すべりが生じる。 粒界近傍で活動したすべり系ほ，結晶AでP1D1AとP1D3Aであり，結晶Bの変形帯内部ではP2D2Bの活動が優勢である。変形帯内のP2Bのすべり帯とP1Aのすべり帯は粒界ではば1対1でつながっている。 (2)粒界近傍の変形組織の特徴，粒界における転位の幾何学的関,ShenらおよびLeeらの判定基準から，P1D1AからP2D5Bへ粒界を通じてらせh転位の伝播が生じたと判断できる。一方,P1D3AとP2D2Bは粒界に刃状転位を集積ざせるが，これらほ粒界で保存される。 (3)SIBMの発生駆動力はP2D2BおよびPID3Aの刃状転位が粒界に集積したことによって，双晶粒界に懐角粒界の性格が付加されたためであると考えられる。SIBM粒界が結晶Bに向かって優先的に張出したことは，SIBMが変形帯と粒界との交点で発生しやすいというInokoらのモデルと一致する。