カーボンブラック添加によるAZ91D合金射出成形品の引張特性向上

摘要

マグネシウムは比重が1．74と鉄の約1／4，アルミニウム（以下，Al）の約2／3と実用金属材料の中で最も軽量性に優れている。このため，省エネルギー·省資源化など地球環境保護の観点から様々な工業製品において鉄鋼やアルミニウム合金からマグネシウム合金への材料置換が進hでいる。しかしながら，マグネシウム合金はこれらの金属材料と比べ強度·延性に乏しいため，一般に高強度化を目的として結晶粒微細化処理が施される。成分元素にAlを含むマグネシウム合金の場合の結晶粒微細化処理として，炭素添加法が知られている。これは，合金中のAlと添加した炭素が反応してAl4C3を生成し，これが結晶の異質核生成物質となり結晶粒の微細化を促す方法である。工業的に用いられる炭素添加法としては，鋳造時にCを含むC2Cl6ガスをMg溶湯に吹込む方法があるが，C2Cl6の使用はダイオキシン発生等の環境面での問題が多く制限されているのが現状である。