アルカリ水溶液中におけるアルミニウム合金クラシド材の局部腐食

摘要

本研究でほ，芯材カソード部の反応に着目し，腐食試験や電気化学的測定によりクラッド材のアルカリ腐食発生機構について調査を行い，次のような点を明らかにした。（1）アルカリ環境中において7072/3003/4343クラッド材ほ犠牲材の効果が有効に働かずに，短期間で深い孔食が発生した。 （2）アルカリ溶液中でも犠牲材が7ノードで，芯材がカソードとなる。 （3）クラッド材の孔食内ほ孔食先端部を除き腐食生成物で覆われるためカソード面積が大きくなりにくい。 （4）アルカリ環境中においてクラッド材ほ局部露出した芯材カソードの表面近傍溶液が強アルカリ化し，芯材のアルカリ腐食によって孔食ほ高速度で深さ方向へ成長する。 以上の実験結果より，クラッド材はアルカリ環境中において犠牲材で局部腐食が発生すると芯材露出部がカソードとなり近傍溶液の強アルカリ化により孔食が成長する。 犠牲材と芯材間のガルパニック電流と孔食内部の腐食生成物によるカソード面積の増大抑制およびバルク溶液の浸入抑制が孔食先端部の強アルカリ環境を維持し，孔食が深さ方向へ成長することが可能となる。 このようなクラッド材の腐食機構から，アルカリ環境中でのクラッド材の耐食性向上にほ，芯材カソード反応部の電流密度を低下させたり，強固な腐食生成物の生成を抑えるなど，芯材露出部が強力な局部カソードとなるのを抑制することが垂声と考えられる。