2015年電気加工に関する研究論文のレビュー

摘要

放電加工の極間現象解明に関する研究が引き続き行われている．Koyanoらは極間状態に着目し，気泡体積の操作によって，安定した主軸送りと均一な加工面が得られる加圧放電加工法を試みた．また，高速ビデオカメラを使って，単発放電により生じた気泡の膨張収縮挙動を観察し，加圧した場合は膨張収縮する際の気泡直径が小さくなることを明らかにした．さらに，気泡の圧力も小さくなることで，単発放電加工の除去量が増加することを報告している．Kitamuraらは，単結晶SiCの透明体電極を用いて，高速ビデオカメラにより極間における気泡の発生と成長，分布および放電発生位置を直接観察した．その結果，加工開始直後，極間隙を占める気泡の割合が急激に増加し，加工中は極間の70%以上が気泡で満たされていることや，加工液中のみではなく，気液境界，気泡中においても放電が生じ得ること，また放電点の発生位置は完全なランダムではなく，放電はそれ以前の放電によって生成された加工くずを介して発生しやすく，特に直前の放電によって発生した気泡の境界で発生する確率が高いことを明らかにした．