フェムト秒レーザーフィラメントによる多分子反応

摘要

有用な機能を持つ化合物の人工合成においては，一般に原材料から始めて目的とする物質を得るまでに，何段階もの反応工程を経なければならない。このため化学研究においては，高効率かつ，より少ない工程数で目的とする化合物を合成できる反応経路の探索が求められてきた。これは，化学合成の省エネルギー化の観点からも非常に重要なことである。これに対して，生体内反応は温和な条件下で進行する高効率，高選択性の反応の典型として新しい反応場構築のヒントを示してくれるが，その反応コントロールの大部分は水素結合，つまり静電相互作用を巧みに利用することで実現されている。