フェノールの脱芳香環化を伴うエナンチオ選択的分子間反応

摘要

フェノールは電子豊富なため，反応性に富み，古くから有機合成の重要な基質として用いられてきた。フェノールの修飾反応は，オルト位およびパラ位で選択的に進行する。この部位に置換基が存在する場合でも，反応試薬によっては付加反応が進行し第四級炭素が生成する。このとき，ベンゼン環が崩れた生成物ができるため，この反応は古くから「脱芳香環化（dearomati－zation）」と呼ばれ，盛hに研究が行われてきた。