擬似分子内反応による高効率な合成手法の開発

摘要

一般に，分子内反応は分子間反応よりも効率よく進行する。2つの分子が分子間で反応して生成物を与えるためには，十分なエネルギーを持ちながら出会い，適切な角度で衝突する必要がある。従って，容器内にある化合物のすべてを完全に反応させることは至難の業である。それに対して，分子内反応は分子間反応に比べて数千倍から数万倍速く進行するし，求核部位がアニオン性でなくても反応が進行する場合が多い（スキーム1）。