カルベノイドの転位反応を活用するカルボニル化合物の増炭素法と最近の展開

摘要

“The chemistry of carbonyl compounds is virtually the backbone of synthetic organic chemistry”このステートメントは，筆者が40年程前に有機合成化学に興味を持つ学生として，勉学に使用した教科書の1つである“ロバーツの有機化学”のカルボニル化合物の化学に関する章の冒頭に掲げられていた。言うまでもなく，カルボニル化合物は有機化学における最重要化合物群であり，これに異を唱える者はいないだろう。