局在化-重項ジラジカルの長寿命化：結合ホモリシス過程の新展開と新奇結合様式（C-π－C）の創製

摘要

近年，適切な分子設計によって，従来短寿命中間体として認識されてきたラジカルやカルベンなどの低原子価化学種が単離され，それらの化学的性質を実験的に詳細に調べることができるようになり，思いもよらない新たな発見がされつつある。とりわけ，単離可能な一重項カルベンの発見は高活性新奇触媒の開発につながり，現在では錯体化学，有機合成化学には欠かせない配位子として広く活用されている。