無線LANを用いた路車間通信システムの開発－防災システムへの無線LAN技術の応用

摘要

近年，無線LAN技術を利用した通信が広く普及してきており，それに伴い，家庭やオフィスだけでなく，列車や自動車などの移動体との大容量データ通信が主流となってきている。当社では，IEEE802.11g準拠の無線LAN技術を利用した路車間通信システムを開発した。これは，従来の有線型情報コンセントシステムと違い，道路沿いに設置された無線LANアクセスポイントとパトロール車等の移動体に設置された無線LANアンテナ間での大容量かつシームレスな通信を目的としており，このシステムを利用することにより，車両が路肩に停止している時だけでなく，車道走行中においても，カメラ映像のリアルタイム伝送，モバイルフォンによる通話，サーバデータの閲覧などのシームレスな利用が可能となった。これにより，道路管理を行うパトロール車からの災害状況の詳細なデータを，迅速かつ確実に本部に送ることができることになり，災害時の初動対応をより的確なものとすることが可能となる。本報では，本システムのネットワーク構成，使用機器について述べ，システムの概説を行う。