耐熱材料のレーザ溶接

摘要

レーザビームを用いた熱加工プロセスは低歪み，かつ高速度の加工が可能なため各種産業に積極的に導入されている。とくにCO{sub}2レーザやYAGレーザは効率が良く大出力が得られることから，金属材料の切断，溶接に広く利用されている。近年，レーザ溶接の対象材料は鋼材からAl合金，Ni基合金，Co基合金へと拡大しつつあり，欠陥のない高品質な溶接部を得るための研究が進められている。 一方，使用環境が1,000°C前後の高温となるジェットエンジンやガスタービン機器では耐熱性および高温耐食性の観点からNiおよびCo基超合金が使用されている。 とくにNimonic263{sup}＊などのNi基超合金やHaynes188{sup}(＊＊)等のCo基超合金は高温強度に優れ，かつAlやTiの添加量が適度に抑えられていることから成形加工や溶融溶接が可能であり，燃焼器などの薄板構造部品に適用されている。 また，タービン翼材では高温強度が求められるため，結晶を制御した材料を用いられているが，溶接性が悪く高温割れの防止や溶接金属の結晶の制御が難しいと言われている。 近年このような難溶接材の耐熱材料に対しても，レーザ溶接技術開発が進められている。 ここでは当社が開発してきたNi基，Co基などの耐熱合金のレーザ溶接法に関して，そのプロセスの概要と継手性能などを紹介する。 また，代表的な耐熱合金が用いられているガスタービン部品の溶接対象物とその対象材料を図1に示す。