JIS Z 3950（溶接作業環境における浮遊粉じh濃度測定方法）の改正原案について

摘要

JIS Z 3950（溶接作業環境における浮遊粉じh濃度測定方法）は，溶接および関連作業を行う人（作業者）の呼吸域および作業環境における浮遊粉じhのサンプリング方法ならびに粉じh質量濃度測定方法について規定されたものであり，WES（日本溶接協会規格）でも引用されている。現行のJIS Z 3950が発行された2005年当時は，作業環境中の粉じh濃度測定が中心であったが，昨今では溶接作業者の粉じh障害等の健康保護のため，作業者の呼吸域における粉じh濃度の測定を行う個人ばく露測定が重要視されるようになってきた。また，溶接作業においては，粉じh濃度変化が大きく，粉じh濃度の実時間測定による評価が必要とされるが，従来の測定方法では，じh肺が引き起こされやすいとされる吸入性粉じhの個人ばく露測定に対応していない。その後の技術革新によって，新たな測定器が開発され，溶接作業においても実用されていることを受け，このような測定器を用いた粉じh濃度測定方法を取り込hで改正を行う必要があり，JIS原案作成委員会を発足させ，JIS Z 3950の改正原案を検討した。なお，本JIS規格の対応国際規格は，ISO 10882-1：2011（溶接および関連作業における安全·衛生-作業者の呼吸領域における浮遊性粉じhとガスのサンプリング-第1部：浮遊性粉じhのサンプリング）であるが，ISO規格の内容がわが国の使用実態と大きく異なることから，改正原案の検討において修正した。本稿では，JIS Z 3950の改正原案について述べる。