医用超音波：循環器領域における造影超音波の現状と展望

摘要

造影超音波（コントラストエコー）は、90年代前半までは市販の超音波造影剤がなかったため、用手攪拌および超音波攪拌によって施設ごとに造影剤を作製し施行されていた。 循環器領域において、このような造影剤を末梢静脈から投与することで右心系の造影は可能であったが、造影剤の主成分である微小気泡のサイズが大きかったことと気泡が血液中に長時間安定して存在できないという問題から、左心系の造影は困難であった。 そのため心筋灌流を評価するには造影剤を直接冠動脈に注入する必要があり、心臓カテーテル検査時にしか行うことができないという大きな制約があった。 このような理由から、より小さなサイズで安定した気泡をもつ規格化された超音波造影剤の開発が望まれていた。 最初に商品化されたアルブネックスは、日本では1993年に発売され（現在は製造中止）、これにより末梢静脈投与で左心系を造影することができるようになった。 しかし、当時の超音波装置の性能面の問題と、この造影剤自身も壊れやすいものであったため、なお静脈投与による心筋灌流評価は行えなかった。