急増する化石燃料消費とCO_2をどう抑制すればいいのか（上）

摘要

国際エネルギー機関（IEA）は11月7日にロンドンで2006年版"The World Energy Outlook"を発刊した（以下，WEO2006という）。 今年のWEOについて各機関でその検討が行われているが，11月22日には（独）石油天然ガス·金属鉱物資源機構（JOGMEC）が例月の「海外石油天然ガス動向ブリーフィング」において「その示唆する石油市場の将来像」と題して紹介した。 JOGMECによると，WEO2006の石油市場論の特徴は次の点に集約される。 ①2030年に向け，世界の一次エネルギー需要において引き続き石油が大宗であり，これに続いて石炭，天然ガスと化石燃料が続く。 ②一次エネルギー増加分の半分近くは発電部門で消費される。 ただし，石油は輸送部門が中心。 ③石油供給はOPECへの依存度が増大する。 ④原油及び石油製品需給は逼迫していき，価格はともに高水準で推移する。⑤エネルギー安全保障や環境面から原子力や省エネ政策の積極的推進が必要となる。 本誌ではまずWEO2006の概要と結論に着目した。 現行の各種エネルギー需要·経済成長·人口増等を延長していけば（レファレンス＜標準＞·シナリオ），世界はますます「双子の脅威に直面する」こととなる。 価格は急騰し十分なエネルギーの確保が困難になる。 更に，エネルギーの過剰消費による環境破壊が一段と進む。 これに対処するためには，代替政策シナリオの導入が強く求められる。 WEO2006はこの人類の差し迫った危機への一つの回答として用意されたものである。 以下，その「要約と結論」（これはOECDとIEAがWEO2006の中の英語原文を年寺別に訳出したもの）を紹介する。