「石油流通の透明化，公正化」に進展はみられたのか

摘要

ガソリンの流通実態や元売と系列特約店との取引関係に関する調査報告が，このはど公正取引委員会と資源エネルギー庁から相次いで示された。公正取引委員会が公表したのは「ガソリンの流通実態に関するフォローアップ調査」。公取委では昨年9月，「ガソリンの流通実態に関する調査報告書」でガソリン流通における独占禁止法上の見解を示し，系列内仕切格差に対する差別対価の考え方や価格決定プロセス明確化と説明の必要，業転玉の取扱制限の問題点などを指摘，元売に改善方を促したが，その後，約1年をかけて元売各社の取組みを追跡調査し，今回のフォローアップ調査にまとめた。公取委の指摘に従って，元売各社が独禁法遵守のための取組みをそれなりに進めているという内容だったが，販売業界の全石連は「実態と異なる」と異議を唱え，独自の再調査を行う方針を示すなど，公取委調査は波紋を拡げている。 一方，エネ庁のヒアリング調査は元売11社を対象とした恒例の流通動向調査。公取委フォローアップ調査で，「系列内格差が合理的範囲内にあることを確認する社内体制は万全」と答えた各社だが，仕切格差はこの1年で一段と拡大。 全国，同一県内の平均で8～9円／lという大きな格差が生じたことが明らかになった。 原油価格の高騰で，採用する値決めフォーミュラの違いから仕切価格の変動幅が大きくなったものだが，エネ庁は改善の必要を指摘。元売子会社等への優遇政策に，日頃不公平感を募らせている一般系列特約店にとっては，より実感に近い調査結果だったようだ。 元売とて独禁法には習熟している。 公取委調査で何もかも明らかになるはずもないのだが，頼りは公取委（独禁法）しかない，とする中小販売業者の追い詰められた現状が浮かび上がってくる2つの調査結果である。