電気料金は来年1～3月分が最高値自家発コストとの価格差縮小か＝1～3月の燃料費調整とHSC重油価格＝

摘要

電気料金は来年1～3月検針分で大幅な値上げ調整が避けられなくなってきた。 7～9月に輸入·通関される原油とLNG，石炭の輸入価格が大幅に値上がりするためだ。 一方，原油相場に発生した調整が本物になりつつあるため，C重油価格は10～12月分で急反落するほか，来年1～3月分でも続落する可能性が出ている。 輸入·通関CIF価格を6カ月後に反映させる電気料金の燃料費調整は，中央価格交渉を通じて原油や為替のコストが30日後に反映するC重油価格に比べ，半年以上もの時間差がある。 原油相場が上昇し続けてきたこれまでは，コスト変化の転嫁がC重油より遥かに遅い電気料金に割安感が発生し，拡大してきた。 そのため，安いHSC重油を燃料にする紙パルプや化学などの産業界では，自家発電のコストが電力会社からの買電コストを上回るという異常事態が発生，自家発を休止して買電への乗り換えを促し，拡大させてきた。 しかし，原油相場の崩落によってその関係が微妙になってくる可能性がある。 原油相場は下がっても，長期契約をベースにした弾力性が乏しいLNGと石炭の価格は下がらない。原油相場の崩落状態がどの価格水準まで辿るかにもよるが，来年1～3月では，買電コストと自家発コストが最も接近すると考えられる。 原油相場が来年3月以降も大幅に下がるようになれば，4～6月では両者の差が更に縮まるが，原油相場が下げ止まると，電気料金にも燃料費調整値下げのタイミングが到来するため，両者の差は縮まらない。 原油相場に発生している調整局面が続くことを前提にして，買電コストと自家発コストが最も接近すると考えられる来年1～3月の燃料費調整とHSC重油価格を展望してみた。