原油暴落と市場連動改定経営環境激変の秋

摘要

編集部一空前の高値に跳ね上がった原油市況だが，米景気の後退懸念による需要減少を背景に，7月後半から反落。 150ドル／バーレルに迫ったNY·WTlも，その後3カ月で半値以下に低下し，昨年8月末以来の70ドル水準となった。この間，6カ月ぶりに100ドルを割り込hだ9月には，米国の金融破綻が火を噴き株価が暴落，世界同時不況への突入が現実味を帯びるにつれ，石油需要への悲観的見方も強まってきた。 OPECは12月総会を10月24日に繰り上げ，80～90ドル／バーレルをターゲットとした早期減産を協議するが，原油価格と景気の両睨みで，OPECも慎重な対応を迫られそうだ。こうしたなか，国内では，新日本石油と出光興産の2社が10月から「市場連動仕切方式」に移行，ジャパンエナジーも11月からの導入を発表するなど，仕切ルールの大幅変更が始まった。湾岸紛争（1990年）以来の月次改定から，前週の東工取先物や陸上スポット価格をベースとする週決め改定にした新方式は，コスト変動を取り込むタイムラグを短縮し，業転との仕切格差を縮め，公正·透明で競争力のある価格を提示するのが狙いだった。しかし，実施のタイミングが原油暴落や不況入りと重なったため，末端では先取り値下げが過熱化，元売はこれまでの高値在庫を"時価"で掃き出さざるを得ないという苦境に陥っている。 新仕切の実施で，体力勝負となったディーラーも，減販と売価急落で資金繰りに窮し，経営存続の危機に直面。 石油業界は精販ともに乱高下する相場に投げ込まれたような混乱の中で，まもなく年末を迎えようとしている。