総販売量4，201億kWh，前年の0．7％増新電力59％増の一方で10社3．8％減＝全小売事業者の上期分販売電力量＝

摘要

電力の小売全面自由化から2年日を迎えた今年度は，夏が短期間ではあったが高気温に支えられたことで，全電気事業者の販売電力量は2年続けて前年を上回った。しかし，気温の後押しに恵まれなければマイナスを余儀なくされることも確認されるなどト需要動向は常にマイナス基調を内包していることも感じられた。一方，既存電力の販売量は需要家による九電力から新電力への乗り換えが更に進hだことで，気温効果も空しくマイナス成長に終わった。上期の販売量を振り返る。全事業者の販売量は4，201億kWh弱で，前年度上期の100．7％へ28億kWh増えた。前年同期も本誌の試算で0．6％増えていた。しかし，旧10電力分は3，728億kWh弱で96．2％（147億kWh減）にとどまり，マイナス幅は前年同期での2．1％より拡大した。一方の新電力は販売量が473億kWh弱で前年同期を59．1％（175億kWh）も上回った。伸び率は前年同期の57．2％をやや上回る程度だったが，新電力への供給先変更が10電力，とりわけ九電力の需要減を招く形になっている。新電力では販売量の63．4％を高圧向けが占め，自由化2年目の低圧向けも17．9％へ拡大してきた。高圧は前年を44．7％（92億kWh）上回ったが，低圧は前年の4．1倍（64億kWh増）へ急拡大した。そのため，九電力で減少した高圧の87億kWhや低圧の51億kWhは，ほとhどが需要家の鞍替えによる新電力への脱落需要という形になっている。上期で販売実績を計上した新電力は334社で，前年同期の258社より76社増えているが，400社を超えている小売事業者の登録数を大きく下回っており，電力小売事業への新規参入は容易ではないことをうかがわせている。