プロパン7月CPは400ドルを割り込む

摘要

サウジアラムコ社は6月30日，わが国の関係各社に対してLPガスの7月CPをプロパン395ドル，ブタン425ドルとした旨，通知してきた。前月に比べてプロパンが10ドル，ブタンが15ドルのそれぞれ下げとなった。プロパンは2009年6月の395ドル以来の安値，ブタンも2009年5月の400ドルに次ぐ安値となった。輸入元売各社の事前の予測では，プロパン405～420ドル，ブタン430～440ドルどころとの見方が支配的だったが，今回もサウジアラムコはそれを下回る「安値」に付けてきた。2014年には，サウジアラビアのLPガスはスエズ以西市場には全くいかなかった。サウジからの輸出出荷量が670万トンと激減しているのだが，その全量がスエズ以東市場に出荷された。しかしながら，スエズ以東市場も大きく様変わりしている。例えば日本だ。2014年度のサウジからの輸入は131万トンだったのに対して，米国からの輸入は191万トンと200万トンに迫った。米国のLPガス輸出アベイラビリティ（可能量）はますます拡大している。今年2月には米国からは190万トンものLPガスがアジア，ヨーロッパ，中南米へ向けて輸出された。2015年通年では2,000万トンを超える可能性もある。サウジが，中東がLPガスの最大の供給国·地域だった時代は終わろうとしている。中東CPが，その圧倒的供給力のゆえに世界市場をリードしてきた時代から米国～アジアの，あるいは世界標準のCPに変わりつつある。その変化の過程に我々はいる。