10月末2日間の市況で決めたLPガス11月CPの不条理

摘要

サウジアラムコ社は11月1日，わが国の関係各社に対してLPガスの11月CPをプロパン395ドル，ブタン435ドルとした旨，通知してきた。前月に比べてプロパンが35ドル，ブタンが70ドルのそれぞれ大幅上げとなった。2015年5月以降，サウジアラムコは，CP決定にあたっては決定前の中東FOB市況（CP先物相場）に準じた透明度の高い値付けを行ってきたが，10月CPはそれを覆す大幅な上げとしたことは前回述べたが，11月もまた10月最終週の後半だけの市況を反映させた大幅な値上げを行った。それも，10月29日に発表する予定のCPを11月1日に延期するという裏技に頼っての値上げだ。あまりにも「あざとい」やり方といわざるを得ない。当初予定の29日発表であれば，元売各社が予測したように，「プロパン370ドル，ブタン395ドル」程度だったであろう。とてもサウジアラムコだけでできる技とは思えない。これでまた米国で手当てした方が，サウジから買うよりも安値となった。「中東回帰」の動きを鮮明にしていたバイヤーの選択は，再び米国指向を強めることとなる。北海やアルジェリアの11月FOB価格は前月比2～5ドル上げというフォーミュラと市況に沿ったものとなった。米国モントベルヴューの直近の市況は，プロパンが220ドル台，ブタンが270ドル台だ。USガルフ～日本のスポットフレートは142ドル。アフリカからもUSガルフからもアービトラージカーゴがこれまで以上にやってくることとなる。まずはCP決定の背景となった10月のLPガス国際市場動向を振り返ることから始めよう。