石炭とLNGの値下がり効果大きくプラス調整単価が全社で連続縮小中

摘要

6月に輸入された石炭の円建て輸入価格が1万円／トンの大台を下回った。これは平成24年12月以来1年半ぶり。また，5月で100ドルを割り込hでいた石炭は4～6月でも大台を下回るなど，石炭の値下がりが一段と目立つようになった。このため，石炭は4～6月平均の円建て輸入価格が前期より3.3％も安くなった。LNGの値下がりは0.9％，原油は0.2％にとどまったものの，石炭の値下がり効果によって各社の平均燃料価格は前月から0.9％～1.5％下がった。こうした1％前後の値下がりは3カ月連続になる。9月の家庭用の支払月額は16円～42円縮hだが，3カ月分の値下がり額を合算すると52円～123円になる。とはいえ，原子力発電の運転停止で増大した火力燃料コストや新エネルギー促進用負担金創設によって，震災前の22年9月分と比較すると731円～2,049円も増えている。震災前と比較して大きな影響は産業用料金に著しい。燃料費のプラス調整と料金値上げによって，9月分に試算した産業用特別高圧料金は，22年9月を22％～75％も上回っている。値上がり率の地域差などを反映し，最も安い北陸を100とした各社の比率は，北海道114，東北137，東京156，中部134，関西132，中国112，四国119，九州114，沖縄127となり，東京の独歩高状態が続いているほか，大きく開いた地域格差にも目が行く。東京の電力需要が震災後に著しく萎み続けているが，その背景には，産業用料金に発生し，拡大したままの割高感があるように思える。需要家に自家発の導入·増強や設備の一層の省電力対策を促すほか，操業場所の移転まで推し進めるきっかけになると考えられるためだ。今後の動向が益々注目されよう。