HS1,500円下げ，0.3％570円上げ為替も原油もウクライナ情勢次第か

摘要

JX日鉱日石エネルギー系列の特約店に4月25日（金），今期4～6月分のC重油仕切基準価格，つまり当面の要求価格が伝えられた。突然湧き上がったウクライナを巡る緊張が，為替と原油の相場を大きく揺れ動かしていることから，6月半ばに固まる最終的なコストが仕切基準から乖離する可能性を覚悟する必要がありそうだ。特約店に通告された一般需要家向け仕切基準価格は，HS3.0％が74,400円／kl，LS0.3％HPPが83,670円／kl（支払いサイト60日，京浜湾内持ち届け価格）で，前期決定価格に対し，HSは1,500円（2.0％）値下がりする一方，LS0.3％は570円（0.7％）の続騰になる。価格算出フォーミュラは前年度合意を据え置き，諸経費は前年度合意に仮置きしている。変更されたコストは250円増税された石油税（環境税）だけ。HSとLSが相反する方向へ変化している背景は，HS用とLS用で方向感の遣う原油相場関係の見方にある。指標原油の4～5月分についてはHS用ドバイが確定した3月より下がる方向で想定された一方，LS用ミナスは上昇基調が想定された。ボンドバンカーとLSWRの想定も指標原油の見方に近い。1月に引き下げ改定されたタンカーの基準運賃はHS用のタンカー運賃には反映しているが，LS用には反映せず逆に値上がりしている。こちらもHS下げ，LS上げの方向を多少は演出している。ウクライナの政情不安は3月16日に実施されたクリミアの独立を問う選挙を契機に，東西緊張を著しく高める新たな局面に入った。ウクライナ情勢が内紛や内戦で済むか，東西陣営を巻き込hだ長期の緊張関係に発展するか予断を許さないが，5月には2つの選挙が予定されている。C重油価格のコスト対象期間とウクライナの緊張時期が重なっているだけに，為替も原油もウクライナ情勢に翻弄される懸念がある。