福島の原子力発電所事故に世界はどう向き合ったか

摘要

3.11東日本大震災から早くも2カ月になる。M9.0の大地震と最大38mに達した大津波が東北·北関東を襲い，被災した東京電力福島第一原発では，稼働中の1～3号機が自動停止したものの，津波による全電源喪失という事態に陥って冷却に失敗，定検中の4号機燃料プールも含めて燃料棒からの崩壊熱で水素が発生して建屋等が次々に爆発し，外部へむき出しとなった原子炉容器等から放射性物質が拡散している。大震災は過去何度も島国で逃げ場のない日本を襲い，日本はそのたびに立ち直ってきた。和を大切にし，皆で支え合い助け合い，人を思いやる国民性もそこから育まれてきたのだろう。しかし今回の原発事故は，これまでになかった新たな災害であり，地球温暖化対策の切り札として脚光を浴びていた原子力発電所の脆さをさらけ出すことになって世界に大きな衝撃を与えている。IAEAの発表資料によると，現在世界で稼働中の原発は443基を数え，64基が建設中となっている。稼働数が最も多いのは104基のアメリカで，フランス，日本がこれに続いている。また，建設中の原発が最も多いのは中国の27基で，以下，ロシアの11基，インド，韓国の5基などが続いている。2009年の原発の発電量シェアでは，フランスが75.2％を占めてトップだ。今後，福島の原発事故がどういう形で収束するか，世界中の原発保有国が注目している。主要原発保有国は福島後にどう対応するのか。